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2011年9月22日木曜日

音響学会3日目 音声B(ポスターセッション)メモ

別セッションに行く教授から偵察指令が出たので、初めて学会メモをアップ。専門外トピックもあるので、勘違いがあったらごめんなさい->各発表者様。

○歌唱音声の類似度評価を目的とした声道形状に基づく音響的距離尺度の提案
「類似度」というより「モノマネ度」を測る目的と理解して良いらしい。カラオケの採点装置への実装が念頭にあるとのこと。
モノマネが得意な歌唱者にGacktのモノマネをしてもらうと、スペクトル包絡、声道断面積比、フォルマント周波数、が本物のGacktに近づいたという話。ビブラート区間には声質に個人性が現れやすいという前提(その原理について聞いてみたが、よく理解できなかった)のもと、その区間内でのスペクトル包絡と声道断面積比推定。なお歌唱者には実験の際にGacktの歌声を提示したのはなく、本人の記憶にあるGacktのイメージでマネをしてもらったとのこと。

○声質類似性知覚と音響特徴量との相関分析
結論としては低次ケプストラムとSTRAIGHTの周期性指標が効くそうで、これらを含む6つぐらいの特徴量を使った重回帰分析をして、主観評価との重相関が0.73(closed)。
いまいち何が新しいのかよくわからない、という複数人からの突っ込みに対しては、実験に使った話者数(62人)が過去の類似の実験に比べて大きいという返答。

○教師なしアルゴリズムを用いた楽曲中の歌声強調に関する検討
混合音のボーカル強調の研究。伴奏とボーカルの混合音のスペクトログラムに対して、Kullback-Leibler divergence基準でNMFを求める。基底行列に対応する各スペクトルから一旦MFCCを求めて階層クラスタリングを行うことで、ボーカル(母音)、ボーカル(子音)、伴奏の3クラスタに分類し、
これらを再合成することで、ボーカルの分離や強調を行うという。
クラスタリング結果が「ボーカル+他の楽器」の分類になる保証について尋ねたが、そのあたりは運次第らしい。またクラスタリング結果のどれがボーカルで、どれが楽器音なのかも、音を聞いてみるまではわからないとのこと。
発表タイトルは歌声強調なのに、デモでは分離までやっていた。デモを聞く限り、鑑賞レベルの音質ではないものの、一応分離は出来ている。ただしボーカルにグロッケンが混入しており、クラスタリングがうまくいかなかったらしい。
課題はいろいろとあるようだけど、付加情報なしでボーカル分離ができるのは面白い。

○背景音が歌唱に及ぼす影響の基礎的検討
ヘッドホンで2種類のノイズ、ピアノ、ギター、オルガン、ストリングスの伴奏、ピアノ伴奏の逆再生を提示しながら、素人の歌唱者に「どんぐりころころ」を歌わせた。歌唱者には、同じ音量で歌うように教示したにもかかわらず、いずれの場合にも、静音条件に比べて歌唱の音量(RMS)が増大した。
ピアノ伴奏やピアノ逆再生の場合には他の楽器に比べて歌唱音量の変化が大きく、打鍵によるの瞬間的な振幅に影響されているのだろうと、嵯峨山先生から指摘。
結論としては、歌唱においてもロンバード効果が存在するということらしい。

○表現豊かな音声合成の為の句末音調ラベルの予測
童話の朗読やコールセンタでの対応、商品宣伝の発話においては、疑問文でない文末においても基本周波数(F0)を上昇させる傾向があるという。
テキスト音声合成にそれを反映させる研究。これらの条件化での発話データベースから、文末N単語+ポーズの有無を入力、F0上昇の有無を出力としたSVMを学習。ただし童話読み聞かせについては、F0上昇の発生率が低かったため実験から除外。その他2条件について、5重交差確認でカッパーの一致度0.75程度を達成。Nは1〜5で実験し、3程度が最も良かったとのこと。
F0上昇の有無をN-gramで推定するようなものかなぁ(SVMだけど)、と個人的には理解。

○帰国子女と日本人一般大学生による英語のリズム生成パターンとTOEICスコアにおける要因分析
アメリカからの帰国子女を、アメリカに移り住んだ年齢で0〜9歳と13際〜17歳のグループに分け、英語習得レベルの差異について分析した。
まず通常の日本人と帰国子女全体のTOEICスコアを比較したところ、リスニング、リーディングの両方で有意差が認められた、さらに帰国子女の2グループ間で比較したところ、移住年齢が早いグループの方が平均スコアが良い。ただしこの2グループ間で有意差が認められたのは、リスニングのスコアのみ。
次に、話速を正規化したISI持続時間長さを用いた、発話リズムパターンの比較。移住年齢が早いグループはネイティブスピーカーとの間に有意な差はない(すなわちネイティブに近い)が、移住年齢が遅いグループはネイティブスピーカーとの間に有意な差が認められた。
全体の結論としては、英語圏に移住する年齢が英語習得レベルを左右する。滞在期間の影響について尋ねたところ、帰国子女を滞在期間ごとにグループ分けをしてもTOEICスコアに有意差は認められなかったとのこと。

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